企業が成長、発展し、存続していくには、資金が必要です。資金が底をつけば、どんな大企業であっても倒産します。当たり前と思われていることですが、経営が順調であり、企業が急成長している時ほど、忘れ去れてしまうことが多いです。
利益とキャッシュ・フロー
その原因の最も大きな要因は、経営者が、キャッシュ・フローよりも、会計上の利益に目を向けるようになるからです。会計上の利益と、キャッシュ・フローには、会計処理のルールに従い、ずれが生じます。典型的な例としては、固定資産の減価償却があります。
また、会社の税金は、キャッシュ・フローをベースに算定されるのではなく、会計上の利益を基礎として算定されます。会社にお金があろうとなかろうと、利益に基づいて、計算された税金を一定の期日までに支払わなくてはなりません。
資金計画について
利益計画と同時に、資金計画が立てられていなければなりませんが、いつ、どれだけのお金を何のために支払い、どのように調達し、どのように増やしていくかということを、将来の期間について予測していくことは、難しいことです。予期しない支出の発生、資金調達の失敗、販売の不振など、想定外のことは、起こりうるからです。
従って、資金計画は、最悪のシナリオが実際に起きても、耐えうるものでなければなりません。順調に成長を続けていると、最悪のシナリオを想定することを怠れば、現実にそれが起こった場合に、資金が底をついてしまうということになります。
財務管理について
特に、急成長しているベンチャー企業については、そのビジネスモデルに酔ってしまい、財務管理が疎かになりがちです。これは、ベンチャー企業のみならず、売上が好調な企業にも言えることです。
財務管理は、間接業務ではなく、企業の生死に関わる重要な事項であるという認識を、経営者が持たなければいけません。財務管理が鉄壁であれば、予期せぬ事態が生じた時でも、資金繰りをなんとか、しのいでいくことができます。
資金調達について
キャッシュ・フロー経営というと、極力、借金をしない無借金経営を想像しますが、借金がダメということではなく、資金が底をつく状況にならないということが重要で、投資のために借金をしても、それを回収できる手段があるのなら、資金は底をつくことはありません。
従って、そのような手段を、常に多く持っていなければならないということです。これは、借入という手段だけでなく、資産の売却等も含まれます。
このようにキャッシュ・フロー経営は、企業にとって非常に重要な意義を持つことであり、経営における基本原理の一つと言えます。