最後のいい会社の要素である、いい財務内容ですが、「いい経営者」「いい商品・サービス」「いい人・組織」があれば、自ずと利益が出て、いい財務内容になるのでは、と思われるかも知れません。
確かに、財務内容は、事業の結果が集計されたものであり、事業活動の成果を表すものです。上場会社においては、最近、特に ROE(株主資本利益率)が重視されています。
しかし、いい財務内容の、最も基本的で、大切な要件は、ROEを高めることではなく、事実を表現するということです。
大手メーカーの不適切会計の問題が、話題となっていますが、財務内容は、たとえ業績が悪くとも、事実を開示しなければいけません。事実から、現状の問題点を分析し、改善策を打つことができます。
京セラの創業者、稲盛和夫は、技術畑出身で、会計のプロではありませんでしたが、京セラが、中小企業であった頃から、財務管理の重要性を、よくわかっていました。そして、「アメーバ経営」という、自社独自の管理会計の仕組みを、構築しました。
そこには、稲盛氏の、経営は正直でなければならない、という哲学が貫かれています。
財務に手を抜き、不正が横行し、正直な開示が行われなければ、会社は、信頼を失います。
いい財務内容は、このように経営者の誠実性により、担保されます。