企業の規模の大小に関係なく、財務体質の改善方法・ポイントにおいて、基本となる部分があります。今回は、もっとも重要となる貸借対照表項目のうち、資産について、記載していきます。
財務体質改善は、貸借対照表から
ご存知のように、会社の財務諸表は、大きく2つに分けると、財政状態を表す「貸借対照表」経営成績を表す「損益計算書」です。
財務体質の改善については、「貸借対照表」の方に着目していきます。
資産項目について
会社の資産には、様々なものがあります。その中には、すぐにお金として換金しやすいもの、しにくいものがあります。
一般的な会社の貸借対照表は、「流動性配列法」と言って、換金しやすい項目の方が、上に並んでいます。
財務体質改善のためには、資産の換金価値が、正しく表示されている必要があります。
言い換えると価値のない資産は、あってはいけないということです。
価値のない資産
価値のない資産とは、どのようなものを思い浮かべますか?
例えば、回収できる見込みが低い売掛金や、手形、売れる見込みのない商品、時価が大きく下がってしまい塩漬けになっている有価証券など、様々なものがあります。
このように価値のない資産が、貸借対照表に載っていると、どうでしょうか?
例えば、100円の売掛金が貸借対照表に載っていても、実際、回収できる売掛金が80円としたら、貸借対照表の載せる金額は、80円に直さなければなりません。
基準が曖昧な、中小企業の会計
株式を上場した、公認会計士の監査が義務づけれている会社が、会計基準に従い、上記のような価値ない資産は、実際の価値に直されますが、中小企業は、公認会計士の監査が義務づけれておらず、会計基準の適用が会社によって、曖昧になっているケースが多いです。
しかし、貸借対照表を見て、経営者が、正しい経営判断を行うためには、価値のない資産は載せるべきではありません。
資産の現在の価値を洗い直す
そのために必要となることは、まず、資産の価値を把握することが重要です。貸借対照表についての、各科目の内訳書に記載されている資産が、価値があるのかどうかを、定期的に洗い直す必要があります。
例えば、売掛金であれば、回収期日が到来しても、回収できていないものがどれくらいあるか、どれくらいの期間回収されていないか
在庫であれば、原価割れしても、売っているものはないか、長期間売れずに残っている在庫はどれくらいあり、それは、将来、売りことができるのか
といったように資産の項目ごとにチェック事項を設けて、見直してみることが必要です。
会社の現在の財政状態を知る
上記の見直しを行い、資産の価値を直してみて、初めて、あるべき会社の財政状態がわかり、それに基づいて、経営者は、正しい経営判断を下すことができます。
上場企業にとっては、当たり前のことでも、中小企業にとっては、見直しのコスト等の問題もあり、そのままとなっているケースも多くあります。また、大きな会社であっても、経営者は経理部門に丸投げして、自らは全く把握していないケースもあります。
財務体質の改善には、経営者も、会社の資産の現在の価値を、正しく把握している必要があります。