財務や、会計には、様々な役割がありますが、その中で、大きく分けると3つの機能があります。それらについて、今回は記載します。
1.財務会計
一般的に会計というと、この財務会計を思い浮かべる方が多いと思います。財務会計は、実際の経営数値に基づくものであり、会社の決算書は、財務会計に従って、作成されています。
決算書は、税務申告の基礎となり、株主への決算数値の報告、配当の支払いの基礎となるものです。
財務会計は、同一の会計のルールにより作成されます。中小企業は、大企業ほど厳格ではありませんが、上場会社であれば、公認会計士の監査が義務付けられており、会社が会計のルールに従って決算書を作成しているかを、外部の専門家がチェックします。
会計のルールは、会計基準と呼ぼれるものであり、海外に進出している上場会社の中には、日本の基準だけでなく、国際会計基準に従って、決算書を作成している会社もあります。
このように、財務会計の特徴としては、会社にとって必ず必要となるもので、実際の数値を使用しており、会計のルールに従って作成される、ということが挙げられます。
2.管理会計
管理会計は、財務会計を基礎としながらも、会社が自社の経営管理や、経営意思決定のために、用いるものであり、実際の数値だけでなく、予定数値や、標準数値が用いられます。
管理会計は、社外に公開する目的ではないので、自社で自由に構築することができます。予算の策定であったり、投資の意思決定、原価管理など、様々な局面で、管理会計は用いられます。
管理会計は、強制されるものではないため、会社の規模が大きくなるについて、整備の必要性が増してくるのが特徴です。大企業になると、自社独自に管理会計制度が整備されていますが、中小企業において、管理会計制度が十分に構築されている会社は、少ないと言えます。
3.財務戦略
財務戦略とは、経営戦略の一環であり、経営者が直接的に関与し、将来のリスクを勘案して、経営の重要な判断を行うための、財務上の方針です。
世界的な低成長下の経済環境の中、経営資源をより有効に、かつ、効率的に使用していくことが求められ、財務戦略は、ますます重要度が高くなっています。
財務戦略の立案には、財務会計や、管理会計の素養が、必要となりますが、経営者は、財務の専門家ではないので、他のマーケティングや、ICTといった経営戦略と同様に、それをどのように活かせば、どのような効果が経営に得られるかという観点を持って、立案にあたります。
例えば、M&Aといった企業にとって、重要な影響を与える経営戦略において、財務戦略が大きな鍵を握っています。将来のリスクを見誤って、多大な借り入れを行い、実行したM&Aが失敗に終われば、企業の継続性が危ぶまれることになります。
財務戦略を成功させるには
財務戦略を成功させるには、社内に専門能力を有する人材を配置するだけでなく、経営者自身が、財務的なセンスを身につけ、リスクマネジメントを適格に行う必要があります。
将来のことを予測することは、非常に困難であり、経営者の仕事に多種・多様にわたり、しかも、経営環境の変化は、どんどんスピードを増しています。
しかし、経営は博打よりも、はるかに成功率は高いはずですので、そのためには、準備を怠ることなく、問題解決にあたることが求められます。